顔の運動でほうれい線やシワを予防できるって本当ですか?
はい、本当です。
ただし、やり方次第。間違った運動は逆効果になる事もあります。
説明しましょうね。
肌を引っ張ったり延ばしたり、という方法はシワやタルミを増やすだけです。あくまで筋肉、これを表情筋と呼びますが、筋肉だけを鍛えなくては意味がありません。
顔にシワヤタルミができるのは、肌の支持組織が年齢とともに減少するからなんです。
お肌の支持組織って? ですよね。
そんな事言われても分からない方のほうが大多数だと思います。
お肌の支持組織は「コラーゲン」なのです。
鉄筋コンクリートに例えましょう。
鉄筋にあたるものがコラーゲン、皮膚の細胞一つ一つがコンクリートだと思って下さい。
鉄筋が腐ってボロボロになれば、当然まわりの皮膚細胞は支えを失って脆弱になります。
支えを失ってもろくなった肌の細胞は、これはもうお分かりでしょう。
だんだんと崩れていきます。
これがシワヤタルミの原因。鉄筋はコラーゲンだけではなくエラスチンなど、色々ありますが、皆さんが一番ご存知なのはコラーゲンでしょう。
ですので、当院で行っているシワヤタルミの治療では、熱や磁力線やラジオ波を皮膚にあてて、例えば血流を良くしたり、このコラーゲンの元となる繊維芽細胞を刺激し、コラーゲンを再生してあげる事が一番の基本になっています。
でもシワやタルミの原因はそれだけではありません。
若い頃パツンパツンに張っていた筋肉が年とともにだんだん痩せても、皮膚のタルミやシワの原因になる事は容易に想像できると思います。とすれば、弱った表情筋を鍛えてやれば、シワヤタルミの改善ができる。これもおそらく容易に想像できるでしょう。
つまり、皮膚は引っ張ったり延ばしたりせずに、筋肉だけを鍛える。
これに尽きます。
顔全体をバランス良く動かす、緊張と緩和、つまり、例えばガムを咬むと頬の咬筋を鍛えられますが、だからといって四六時中ガムを咬み続けていればいいというわけではありません。
休めてやる事も必要なのです。
筋トレを思い出して頂ければ良いのです。
スクワット10回やったら、クールダウンするとか、筋肉を鍛えるのはそれなりの方法があります。
ちょっと例をご紹介しましょう。
「あ」の声を出す顔を5秒キープ。
真顔に戻って5秒休憩、次は「い」の顔になってまた5秒、戻って休憩5秒、今度は「う」の顔5秒、休憩…てなぐあいです。
あと、口笛を吹く表情を5秒とか、写真を撮る時の「チーズッ!」の「チー」を5秒キープとか、口の中に空気を一杯溜めてほっぺたを思い切り膨らまして5秒、真顔に戻って休憩5秒とか、逆に頬を口に中野空気を吸い込んで、ほっぺをへこませたまま5秒とか…。
要するに何でも良いんです。
皮膚に負担をかけないように筋肉をトレーニングできれば。
みなさんもいろいろ工夫してやってみて下さい。
くれぐれも、お肌だけのマッサージは、もろくなった肌をよけいに崩すだけ、という事を忘れずに。