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執筆者の写真松本浩彦

秋でも食中毒にご注意を

食中毒といえば夏と思われがちですが、実は涼しくなり始めた頃に、ちょっと油断して起こることが結構あるものです。とくに秋になるとバーベキューや、運動会など、屋外で食べる事が増えるので注意が必要です。


さて食中毒の原因となる細菌で特に多いのは、サルモネラ、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌(O-157)、キャンピロバクター、黄色ブドウ球菌などですが、ウイルスによる腸炎もあります。潜伏期間が数時間から一週間まで大きな幅があるので、原因菌の特定は意外に難しいものです。 さてその症状ですが、一度や二度の下痢でしたら、まずは水分補給をしながら様子を見ても構いません。下痢に加えて腹痛・嘔吐・発熱といった症状が起こった場合を「感染性腸炎」と診断します。医師の診察を受けるまでに注意することは、

 1.嘔吐や下痢がある時は無理に止めようとしない。  2.安静を保ち、熱がある時は氷枕で冷やす。  3.嘔吐や下痢に対しては水分を与えて脱水を防ぐ。

などです。


細菌やウイルスを早く体外に出してしまうという点から考えて、下痢や嘔吐を無理に止めるのはかえって病状を長引かせます。水分やミネラルを補給しながら、麺類など消化に良いものを良く噛んで食べ、必要な場合には医師の診断のもとで点滴をしたり抗生物質を内服して回復を待ちます。

下痢は病気ではなく、体の防御反応だと考えてください。O-157に代表される病原性大腸菌に感染すると命の危険もあります。早い時期に適切な治療を行うことが大切ですが、手洗い、食材や調 理器具の衛生など、まずは個人個人が予防に気をつけることが肝要です。


また、夏でも流行するのがウイルス性の胃腸炎です。ノロ・ウイルス感染症などで、これは以前は食中毒として片づけられていた病気が、実はウイルス性の胃腸炎であると、最近の研究で分かってきたことです。 冬になると毎年ノロウイルスが猛威をふるいますが、実はこのウイルスによる嘔吐下痢症は、夏でも流行します。ノロウイルスの他、ロタウイルス、サポウイルスなど、冬に流行すると考えられていたウイルス性胃腸炎が夏にも流行します。これはべつに今に限ったことではなく、以前は食中毒として片づけられていた症例が、新しい検査法によってウイルス性だと診断されるようになっただけです。

熱はそれほど高く上がりませんが、嘔吐・下痢がひどく、食べてもすぐにもどしてしまいます。とくに乳幼児の場合は水分補給が十分できず、入院して点滴する事態になることもしばしばです。便中にウイルスが排泄され、そこから手を介して他の人に感染し、2~3日の潜伏期間をおいて発症するので、家族全員が一度に発症する例もよくあり、また学校での集団感染も多く見られます。予防のためには手洗いが最も重要です。


感染力が非常に強く、これといった特効薬もなく、また嘔吐・下痢ではかなり体力を消耗する厄介な感染症ですが実は治るのも意外に早く、しっかり水分補給すれば2~3日で回復します。「飲んでもどうせもどすだけだから」といって水分を摂らないと、脱水症状が進んで急激に重症化しますので気をつけて下さい。

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