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執筆者の写真松本浩彦

百日咳も流行っています

みなさん意外に思うかも知れませんが、百日咳って、いま結構、流行してるんですよ。インフルエンザに、ノロ・ウイルスに百日席と、ホント、この冬は皆さん大変です。

患者さんもですが、われわれ医者も、鑑別診断に困ることが良くあります。


普通のカゼはウイルス感染ですが、百日咳は主にグラム陰性桿菌の百日咳菌による細菌性の呼吸器感染症で、いろいろ文献を調べてみましたが、発症機序はいまだ未解明で、特有の痙攣性の咳発作を特徴とする急性気道感染症です。世界的に存在している感染症で予防接種を受けていない人々の間で、地域的な流行が3 – 5年毎に起こるのですが、どうやら今年は当たり年みたいです。一年を通じて発生が見られますが、春と秋が多いようです。世界的にみると患者数は年間2,000 – 4,000 万人で、死亡率は1 – 2%、死亡数は約20 – 40万人とされていますので、決して侮れません。


子供の病気だと思われがちですが、子供は小さい時にワクチンを受けていますので、意外にかかりません。ところがワクチン接種による免疫の持続期間は約20年。

つまり、世界的に成人の感染者数が増加していると言うことです。これはワクチン接種により百日咳の患者数が減少したことで、自然罹患による追加免疫を得られない世代が増えた為でもあります。「百日」と言われるほどですから、回復までに約3ヶ月を要しますが、実際は60日くらいですね。

私のクリニックでは、エリスロマイシンというマクロライド系抗生物質を4週間飲んで頂いています。これでだいたいの方は治りますので、まぁ、「30日咳」と言ったところでしょうか?昔から百日咳は約4年周期の流行を繰り返すことが知られています。2007年の年末から感染増加傾向が継続し,2008年には調査が始まった1999年以降最も大きな患者発生のピークが見られ,ピーク後も例年と比べると患者の発生が多い状況が継続しています。患者の上気道分泌物の直接接触や飛沫により感染し,感染力は麻しん(はしか)ウイルスと並ぶ強さとされています。

通常,患者からの菌の排出は咳の開始から約3週間持続しますので、いわゆる空咳が長く続く場合は、血液検査で診断できますので、ちゃんとお医者さんに行って調べてもらいましょう。


さて、2月は、ここにアレルギー性鼻炎、いわゆる花粉症まで出てきます。これまで以上に我々も頭を悩ませる時期が近づいているので、正直なところ、戦々恐々の日々です。


*昨年度10月度に掲載したものに加筆致しました。

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