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執筆者の写真松本浩彦

炎天下の子供のプール遊びについて

さて、このところ「紫外線、紫外線」と、まるで殺人光線のように紫外線が悪者扱いをされていますが、何度も言っていますように、人は一生に浴びる紫外線の80%を青年期、20歳までに浴びると言われています。一説には60%とも、18歳までに浴びるとも、諸説紛々ですが、いずれにせよ、子供の皮膚に対する紫外線の影響を考えた場合、保育園、幼稚園などで毎日のように行う炎天下でのプール遊びなどは控える、もしくは屋根をつけるなどのすべきだと私は考えています。

しかし紫外線も悪い事だらけではなく、特にUVAなどはそれなりに人の身体を守ってくれるので、頭から悪者扱いするものではないと、これは前にも述べました。


しかしここに、興味深い論文がありますのでご紹介します。オーストラリアの白人を対象とした調査で、10歳までにオーストラリアへ移民した人は、10歳以降に移民した人に比べ、生涯での皮膚癌発生率が三倍以上高いというものです。 他のいろいろな研究報告もまとめますと、乳幼児期に無駄な日焼けをしなければ、皮膚の遺伝子DNAに対する障害を受ける事も少なく、光老化、すなわち大人になってシミやシワ、その他の皮膚病の発症を減少させる事は間違いないようです。 また、これは皆さんもあまりご存じないでしょうが、太陽の紫外線、UVA、UVB、UVCを浴びると、人間は免疫能が低下し、これは一週間ほど続きます。ですので、乳幼児の炎天下のプール遊びは、大人になってからの皮膚の光老化を早める、つまり美容に悪いばかりでなく、感染症にまでかかりやすくなると言い変えても構いません。


昨今、公立の小・中学校では、プールの授業中に、長袖長ズボンの白い水泳用の、何と言うのか名前は忘れましたが、水着の上に着るアレです。(えっ? ラッシュガードと言うのですか?)プールの授業中に、日焼け対策としてそれを着用しても構わないとされています。うるさい親がいるのでしょう。教育委員会もしょせんお役所、あっさり認めたみたいです。

逆に私学のほうが、そういう個人の勝手に対してはうるさくて、プールは裸(水着着用のみ)で入るもの、という風潮が根強く、また親も学校に難癖をつけるモンスターペアレントは、うちの子たちも私学に行かせてますが、私学にはあまりいないのでしょうか、ラッシュガードなんてダメ、という学校の方が多いみたいです。


医者としては、子供の日焼けに敏感になるのは良い風潮だと思いますが、親としては、子供は「真っ黒黒助」で良いと、特に男の子は、気にするこっちゃぁないと、自分が色白ですごくコンプレックスでしたので、余計にそう思います。まぁでも、これは私見です。当サイト内のドクターズボイスですから、あくまで一人の親としての、一個人の話と笑って受け流して下さい。


ですが、オーストラリアではすでに幼児を対象に、教育の場でスリップ(slip)、スロップ(slop)、スラップ(slap)と、覚えやすい標語で長袖の着用、サンスクリーン剤の外用と帽子の着用を呼びかけていますし、前にも述べましたが、サングラスの着用で日焼けを防げることから、小児にサングラスの着用も義務づけられています。いかにもオーストラリアらしい話です。オーストラリア人というのはチャランポランなくせに、何か特定の事に対しては異常なまでに厳格にこだわるという、非常に興味深い思考回路を持つ特異な人種で、これは人文科学的研究対象として非常に面白い。まぁこれも、私見として受け流して下さい。


いずれにせよ、皮膚癌やシミ、シワなどに代表される皮膚の光老化も、子供の頃からの生活習慣病と考えれば判り易いかもしれません。大人の場合のメタボリック・シンドロームと同レベルで考えれば、お肌の光老化は防ぎようのある病気です。防げるものは防いでおいた方が良いじゃないかと、これは皆さんも同じ意見でしょう。 でも、そんなに大騒ぎするほどの事でもないとも思うのですが、これも私見のうちでしょうかしら?

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