サングラスをすると日焼けしにくい?
- 松本浩彦
- 2017年7月31日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年8月29日
目が日焼けすると、本当に肌も日焼けするんです。
これは角膜が紫外線を吸収すると、脳に「メラニン色素(黒茶色の色素)を作れ!」という指令を出すからなんですね。
いくらお肌のUVケアをしていても、眼が無防備なままだとその効果は半減するという話、これは正解なのです。
その証拠に、大阪市立大学・生化学教室の研究チームが「肌は紫外線を直接浴びなくても、目で受けるだけで日焼けする」という実験結果を発表しています。
これまで日焼けは、皮膚が紫外線に反応してメラニン色素を作り、日があたった部分だけが黒くなるとされていましたから、これは画期的な研究成果です。
この研究論文を簡単に説明しますと、まずマウス(ハツカネズミのことです)を3群に分け、
(1群)紫外線をあてないマウス。
(2群)耳の皮膚だけにあてるマウス。
(3群)目だけにあてるマウス。
の各群でメラニン色素のでき方を見た結果、(3群)のマウスの耳にも(2群)と同じ量のメラニン色素ができていた。
更に瞳孔を調節する三叉神経を切断した(3群)のマウスには、(1群)のマウスと同様、メラニン色素ができなかった。
研究チームは、目が紫外線を受けると、三叉神経を通じて脳の下垂体に「体に悪い紫外線が来たぞ」という情報が伝わり、脳下垂体が「メラニン色素を作れ」と皮膚に指示して皮膚が黒くなる、と結論づけています。
紫外線は目に見えなくても角膜に細かな炎症を起こします。
この炎症の刺激を受けて紫外線から身を守るため、全身の皮膚にメラニン色素を作らせるようになっている、と考えるとつじつまが合います。
目を日焼けから守る一番のアイテムはサングラス。
オゾン層の破壊が懸念されているオーストラリアでは、小学生のサングラス着用が義務付けられています。
瞳の色は、目の中に入ってくる光の量を調節する「虹彩」という部分の色です。
つまり、日本人の瞳が黒いのは、虹彩が黒いと言うこと。
虹彩の色はメラニン色素の量で決まります。
メラニン色素が多いと黒い瞳になり、少ないと茶色や青い瞳になります。
つまり、欧米人は色素が少ないので青っぽく見え、日本人は色素が多いので黒っぽい瞳に見えるのです。
「目の日焼け」は、お肌のように、目の色が黒くなったりすることはありません。
しかし、日焼けが原因で肌まで焼けるのと同様、目が日焼けするとさまざまなトラブルが発生します。
元来、メラニン色素は太陽光線に含まれる有害な紫外線から肌や目を守る役目をしています。
メラニン色素の量が少ない白人は虹彩の色が薄いため、黒目の日本人の2倍、光をまぶしく感じていると言われています。
外国人がサングラスをかけているのは、そういうわけなのです。
決して格好を付けている訳ではなく、必要だからサングラスをしているのです。
そして我々日本人も、瞳が黒いからといって安心してはいけません。
最初に述べたように、眼の日焼けがお肌の日焼けを励起すると言う話、これは本当なのです。
日本人にサングラスなんて、ただの格好付けだけ、と思っている方が大勢いらっしゃると思いますが、実は大切なことなんですよ。