前回の続きです。 どのようにしてCTが実現したのか。
1960年代の終わり頃に登場するのが、イギリスのEMIという会社です。 実はこの会社、当時お金が余って余って困っていた。 イギリスの税金は最高税率が70パーセントを超えるほどで、その会社、メチャクチャお金が入ってくるのに、税金に取られるのはバカらしい。
どうせなら、荒唐無稽でもいいから人の役に立つ研究に投資して、社会に貢献できれば儲け物。 そう考えてその天文学的な開発費を援助しちゃいました。
そしてHounsfieldさんがそれを実現してしまって、1972年、見事CT第一号機が実用化しちゃったんですね。
EMIの英断がなければ、きっとCTもMRIもまだこの世に存在しなかったかも知れません。
ところで、EMIって何の会社かと思うでしょ? 「東芝EMI」と言えばちょっとご年配ならピンとくる方も居られるかな。 そう、レコード会社なのです。
所属するミュージシャンは、かのビートルズ。 つまりビートルズが売れすぎて稼ぎすぎて、お金の遣い道に困って、 それで仕方なく芽の出そうもない研究に大金をつぎ込んだら、ヒョウタンから駒が出てきてしまったという話なのです。
ちなみにそれでCTを完成させたEMIは、またまた莫大なお金が入ってきて、困ってしまったそうですが、 でも、ビートルズなくしてCTスキャンはこの世に産まれ得なかったのは事実です。
現実に、ビートルズがこの世に残した最大の功績としてCTスキャンが挙げられています。
ビートルズとCTスキャンなんて、関係ないようでいて、意外なところで物事には繋がりがあるものなんですね。