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執筆者の写真松本浩彦

当院でのインフルエンザの治療方針について

日本小児科学会インフルエンザ対策チームが発表した、今冬のインフルエンザの流行状況では、2009年に大流行した「A(H1N1)pdm09」新型インフルエンザが50%を超えて再流行し、小児への感染拡大と重症ウイルス性肺炎の増加が危険視されています。また、「タミフル」「ラピアクタ」に対する耐性を獲得した「A(H1N1)pdm09耐性株」も少数ながら報告されていますが、詳細はいまだ不明としています。


しかし、「タミフル」「リレンザ」が無効な季節性インフルエンザ「A(H1N1)pdm09」A型やB型の報告例も多数あり、またこれに加え、「タミフル」の使用は、小児から十代の若年患者には原則的に禁忌、もしくは慎重投与するように、とされています。

ここまでお読みいただいて判るように、正直なところ、専門家ですら全く実情が把握できていない、という現状です。その理由として、インフルエンザウイルスは日々変異し、さまざまなA型に変化するため、一つの事実が確認されたときには、もう新しいインフルエンザが流行しているという、「追いかけっこ」の様相になっているからです。

そこで当院では、インフルエンザと確定診断した場合の治療方針として、現在、耐性株が最も多いと考えられる「タミフル」「リレンザ」は使わず、第一選択として「ラピアクタ」の点滴静注を行っております。

そして翌日にもう一度診察させて頂いて、仮に「ラピアクタ」が無効であると判断した場合は、即座に「イナビル」に変更するという方針で、今冬のインフルエンザ治療を行います(ただし、2014年1月末の時点で、ラピアクタが無効と思われた症例は今のところありません)。またラピアクタは発症後48時間以内に使用すると有効とありますが、実際には48時間を越えていても効果が確認されています。

医師によって治療方針はさまざまですが「これが正解」というものはありません。近隣の小児科とも勉強会を重ねて、当院では現在、上記の方針でインフルエンザ治療に当たっているという事をご理解いただき、また、これは今後変わる事もあり得るという点も含めて、ご承知おき下さい。

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